井戸家は祖父の代から続く、財布職人の家系です。
今は数が減りましたが、親類にも財布職人がいます。
井戸家の長い財布作りの歴史の中でも、先代の父の時代には、
財布製造の世界では、井戸の名は業界に広く鳴り響いていました。
それは彼が紛れもなく財布作りの天才だったからです。
作るだけではありませんでした。
西洋の財布文化の知識、工具の工夫・改良、材料の見立て、皮の切り方・
貼り方の技術、財布のデザインのオリジナリティ、出来た財布の売り方まで、
その全てが非凡でした。
もうこんな人は、二度と国内で生まれることはないと思えるほどです。
その父に財布作りの全てを教わった私は、
少しでも彼に近づくべく、日々考え、究極の財布を追い求めて
作り続けているのですが、同時に日本とベトナムで、
次世代の財布職人を育ててもいるわけです。
国内の財布職人の数は極端に減ってしましましたが、
欧州のような職人文化を日本に根付かせる夢は諦めてはいません。
その為には弟子の育成、跡継ぎの問題は最重要です。
そんな折り、珍しく親父が娘に財布作りを実演して指導を始めました。
初めて祖父から指導を受けた孫娘は、こんな感想を抱いたそうです。
↓
ポロっと口にした祖父の顔と、この言葉が忘れられない。
「自分がどういうモノを作りたいのか、常に考える事が大事」
「人と同じ事をしていても何にもならない」
今自分がこの業界に身を置く者として、その感覚が欠けていたからこそ
未来に対して漠然と不安を抱えてたのだと感じた。
祖父が珍しく自分が作ってきた革小物を見せてくれた。
何1つ他社には無いデザイン、色使いで、
私に1つ1つ説明する祖父の目には誇りと絶対の自信が感じられた。
自分がどこまで近付けるか分からないが、
何を作りたいのかしっかり考えていこうと
改めて実感した日だった。
↑
私よりずっと優秀な娘も、父から大きな何かを感じ、学んだようです。
娘にとって印象深い1日になったようですが、
私にとっても伝統が引き継がれる瞬間に立ち会った至福の1日でした。
井戸家の財布作りの伝統、知識、技術は、
まだまだその灯を消すことはありませんよ・・・・・・
ベトナムで唯一日本人が経営する
高品質・安価な財布・革小物工場
有限会社ダイヒロ
代表取締役 井戸啓晶
コメントをお書きください
idokiyo12 (木曜日, 19 5月 2016 16:18)
素敵な写真ですね。
井戸啓晶 (木曜日, 19 5月 2016 16:39)
はい。感動モノです。
Sushi Gakyu (月曜日, 11 7月 2016)
娘さん大きくなりましたね。会社もご発展で素晴らしいです。東十条時代は色々と勉強させて頂きました。
私もアメリカに来て6年以上経ちますが、やっと自分の目標に向かって進めそうです。
現在Yuzuという店を経営してますが、二軒目をDCのWhite House すぐ近くに出店予定です。
アメリカの首都から日本人の職人魂を世界に発信したいと思ってます。
Yoshi Ota
井戸啓晶 (月曜日, 11 7月 2016 19:14)
太田くん
久しぶりです。コメントありがとうね。今はアメリカで頑張ってるんだね!
お互い日本人の職人として世界をアッと言わせる仕事をしちゃいましょう!
頑張ってください